母、達成感を満喫!

長年にわたり、家事をサポートしてくださっていた知人の方が、
ご家庭の事情でサポートしていただけなくなってしまった。
母が日々、服用している数種類に及ぶ内服薬のセッティングも
彼女のサポートの一つだった。以前は、彼女ができない時には、
私が代わりにセットしていたこともあり、『これから私がセット
するよ』と言ったのだが、いつの間にか、母が一人でセットを
するように…。

その時の母の姿たるや、一見に値する。
さすがに、額に鉢巻こそ巻いていないが、まるで鉢巻を巻いているが
ごとくのすさまじさだ。なぜか、昔、母と観た映画、「八つ墓村」の
1シーンを思い出す。そう、あの亡霊が、額に巻いた鉢巻に
火のついたろうそくを立てて走る、あのシーンだ。

小分け用の袋にセットされた薬が残り少なくなると、朝から、
『あぁ、今日は薬のセットをしなきゃぁ』と唱えている。
いざ作業が始まると、食卓半分を 使い、朝、昼、夕、寝る前と
書かれた小さなビニール袋を、所狭しとたくさん 並べ、リストに
書かれている通り、シートに収まっている薬を取り出し、順番に
小袋に入れていく。いったん作業が始まると、終わるまでは
誰も近寄れない雰囲気満載だ。『途中で話しかけないでよ』と
言われているので、さわらぬ神にたたりなしと、あえてそばにも
近寄らないようにしている。

作業を始めてから、ゆうに30分は経過しただろうか。もしかしたら、
小一時間は経つかもしれない。突然、喚起に満ちた声で叫ぶ母!
『あぁ、やっと終わった~っ!』
満面の笑みを浮かべ、背伸びをする母。
『これしたら、めっちゃ肩こるねん』と言うので、
『しんどいんやったら、言うてくれたら、私がするのに…』と言うと、
『うん。でも、これ、やり終えたとき、めちゃ達成感があるねん』
と答える母。

御年85歳ともなると、日常生活の中で、なかなか達成感を感じる
機会も少なくなるのではないだろうか。そんな中で見つけた
身近な達成感。きっと、こういうことの積み重ねが、老化防止に
つながるのではないだろうか…。
母には、この感覚を心行くまで満喫してくれればと願うばかりだ。


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