アンケートのコメント

講演や研修の受講後、参加者アンケートの記入をお願いされることがある。
たいていは5段階や3段階の数字を用いた評価を記入するようになっていて、
加えて、自由記述ができる空欄があるものが多い。私自身は、
コメント欄がある場合は、1行でも必ず自分の言葉で記入するようにしている。
その理由は、私自身も講師として講演や研修を実施させていただく立場に
なることがよくあるからだ。

アンケートは、実施した講演や研修を振り返り、新たな改善点に気付き、
次回以降をより良いものにするために有効なツールだ。人は、多種多様な
価値観をもっているので全員満足なんてことは至難の業だということは
重々承知している。そうは見えないかもしれないが、実は、意外と気の弱い
ところもある私は、毎回、アンケート結果を見ては一喜一憂してしまう。

そして、いつも気になることが一つある。それは、自由記述のコメントが
書かれていないものが結構多いということ。評価を示す数字には一応、
全部に印がつけられていても、その評価の理由についての記入欄は
すべて空白のままというものが、毎回必ず複数枚はある。
それらのアンケートを見ると、たとえ良い評価が付けられていても、
なぜか、心底、嬉しい気持ちになりにくい。なぜその評価が付けられたのか
根拠が不明だからだ。低い評価が付けられていた場合は、なおのこと、
更に落ち込むものである。 

何事においても何らかの評価をされたら、その理由を知りたいと思うのは
人として当然のことだ。低い評価が付いた場合、どこがまずかったのか
判らないことには、次回に備えた改善もままならない。前職時代も様々な
研修を担当していたが、新入社員研修などで、研修などへの参加自体が
初めてという人たちには、必ず初回にアンケートの記入方法を説明していた。
評価を下す場合、相手にその理由をきっちりと説明できてこそ、その評価に
信ぴょう性や説得力が生じる筈。例えば、上司が部下を評価する際、その
根拠を明確に説明できずに、「君は、なんかようわからんけどアカンわ」、
あるいは「君は、まぁエエほうやな」などと言うことが許されるだろうか。

少し話はそれるが、アメリカ人の友人はなかなかファッションセンスが良い。
会ってすぐに、“You look great today(あなた、今日、素敵ね)”と言うと、
どこが素敵なのか具体的に言ってよ、と言われたことがある。ジャケットが
素敵なのか、メイクが良いのが、アクセサリーの中でも、特にイヤリングが
素敵なのか、具体的に言ってもらってこそ、初めて褒められた気持ちがする、
ということだ。この言葉を言われた時には目からうろこの心境になった。
全体に見た目が素敵というつもりで言った言葉だったが、言われてみれば
確かに具体性には欠けた発言だったなと反省した。

アンケートを書く機会など、そうそうあるものではない筈だ。そのアンケートを
受け取るのが、もし自分だとしたら、これを見たらどう思うかなと、ほんの
ひととき、担当者に思いを馳せていただき、1行でも良いので、その評価を
下した理由を記入していただけると、担当者にとっては心あたたまるものだ。


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