母の気弱な発言……。

昨年12月23日に満83歳となった母。その少し前から、
しばしば気弱な言葉が出るように……。
高齢で、しかも複数の慢性的な持病をかかえている上に
要介護2という状態なので、日々、体調が変わるようだ。

人間、誰でもそうだが、やはり体調が悪い日は、日頃は結構
気丈な母もつい気弱になるようで…。そういう日には、いつもより
口数が少なくなる母。

朝からおなかに手を当てて、ややうつむき加減に食卓に座る母に、
「どしたん、また調子悪いん?」と訊くと、「うん、おなかが張って、
しんどいねん」から始まり、待っていたと言わんばかりに、
「腰と膝も痛いねん。朝、着替えんのが大変やねん。かかとも
痛いし…」と、いつも、ほぼ全身の不調を訴え始める。

ひとしきり不調を訴えた後、最近は、気弱な発言が続くのだ。
さぁ、そろそろ来るぞ、来るぞ、と思っていると、その期待を
裏切ることなく、母の口から出てくる言葉がこれだ。
「もう、いい加減に終わらしてほしいわ~」。もちろん、人生を、
という意味だ。

「調子のいい時は、いつまでも生きていたいと思うけど、こんな
しんどいんやったら、いっそのこと、もう終わってくれたら、
すっきり楽になってええのに、と思うねん」と母は続ける。

「そんな弱気なこと言うたらバチあたるよ~。今、この瞬間にも
死にたくないのに、事件や事故に巻き込まれて命を落とす人も
いてはるねんよ。長いことベッドに寝たきりで、毎日もっとしんどい
思いをしてはる人も一杯いてはるはずやん」と返す私に、母は
無言でうなだれる。

「パパがよう言うてたやん、病気と寿命は違うって。いくら重病に
かかっても、最期の時は自分では決められへんもんやって」と
続ける私。 「ママかて調子いい時には、テレビのグルメ番組
見ては、あぁ、おいしそ~っ、あれ、食べたいわぁとかって、よう
言うてるやん。そんな風に思てるうちは、まだ死なれへんて。
それに来月も、ママの好きな愛之助のお芝居、観に行くことに
したやん。何か食べたい、どこかに行きたい、何かを観たい、
というのは、それだけ生に対する欲があるっていうことやん。
それって、まさに生きたいってことでしょ? いろんな欲があるって
ことは、まだ十分生きてるってことやと思うよ。心配せんでも
いつかは終わりが来るねんから。でもその時っていうのは、
時分では選べないってことなんよね」と更に続ける私。

少し話しているうちに、気がまぎれるのか、ようやく元気を
取り戻してくれる母だが、最近、この気弱な発言の頻度が
増えたような気が…。

83歳という年齢にはまだ達していない私としては、
その年齢で持病を抱えた人が、肉体的かつまた精神的に、
どれだけしんどいものか、まだ実感はない。
正直言って、日々、母から体調不良を訴え続けられ、
聞かされる身も結構つらい。聞かされても、どうしてあげることも
出来ないし……。かといって、母が望むように早く終わらせて
あげたいなどとは、もちろん決して思えない。

体調不良の日ができるだけ少なくなるように、そして母の口から
気弱な言葉が出る回数ができるだけ減ることを祈るばかりだ。


カテゴリー: 日記 パーマリンク