喜怒哀楽は若さのあらわれ?!

加齢と共に涙もろくなっている母。実は、かくいう私も、若い頃にくらべると
嬉しくても、悲しくても、ちょっとした感動で涙が出やすくなってきた。
でも、ある人に言わせると、逆に本当に年をとって老け込んでしまうと、
物事にあまり感動しなくなるから、涙も出ないし、物事に腹を立てて激怒したり、
楽しいことがあっても心の底から大声出して笑ったりしなくなるものらしい。
もちろん、すべての高齢者が必ずしもそうだという訳ではなかろうが、傾向的には、
そうなる人が多いということなのだろう。

その点、うちの母の喜怒哀楽の表現は、まだかなり激しい。
テレビ番組で面白いシーンがあれば、キャッキャッと大声をあげて笑う。
デイケアで、おばあさんたちが集まって「ババ抜き」(ちょっと笑えるシーン?!)
をしていて、手元にあったババを誰かが取った瞬間、笑いが止まらなくなった
らしい。よほど嬉しかったのだろう。あまり笑う母を見るに見かねたスタッフの方が
『そんなに笑ったら、誰がババ持ってるか、すぐにわかっちゃうじゃないですか』と
苦笑されたらしい。

涙もろさも天下一品だ。東京に住む実弟がたまに関西に来る時も、今までは
久々の再会を果たし、楽しいひと時を十分に過ごし、いざ帰るという段になると
泣き始めていた母だが、最近は、会った瞬間に、もう即、泣き出している。

怒りの表現も半端ではない。
高齢の愛猫の爪を切っていて、うっかりしていて、ちょっと深く切りすぎたために
少し出血させてしまった。特に鳴き声もあげなかったが、ピクっと動いたので、
気づいたのだが、『あっ、血ィ出た。どうしよう。切りすぎてしもたみたい』と言う私に、
いきなり、食って掛からんばかりに怒りをぶつけてきた母。
『大体、あんたがそんないらんことするから、もうっ!
猫は痛いって言われへんのに、かわいそうにっ!
トイレの時に、足が痛くて砂かけられへんようになるやん。
傷口からばい菌入ったらどうすんの!』と、もしかしたら叩かれるのでは、
と思うほどの勢いで怒り続ける母。
私は、不遜にも、猫がしゃべったらコワイやん、と内心思いながら、
『砂かけるのは前足やし、そんなに痛がってないみたいだよ』と言いながら、
母に言われた通り、出血部分に人間用の化のう止めの軟膏を塗布。

幸い、大したことはなかったようで、その直後、愛猫は、気遣う私をよそ目に
素知らぬ顔で普通にスタスタ歩きまわっているではないか。
いくら過保護の飼い猫と言えども、もとは野生の動物、あれしきのことで
歩けなくなるようでは自然界でサバイバルできないじゃんと思いつつ、母の
激しい怒りに、逆に変な感動を覚えた。
あれだけ怒れるって、若いって証拠なんだよね。

ひとしきり激怒した後、しばらく姿を見せなかった母が居間に戻ってきた。
『もう、あんたのおかげで、いっぺんに血圧上がったやん!』と。
どうやら、寝室で血圧を測っていたらしい。
喜怒哀楽を大いに表現できるのは若さの証拠かもしれないが、
血圧が上がるまで興奮して欲しくないものだ。
何事もほどほどに、が肝要だ。


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