うちのサクラって……?

うちの近くの夙川沿いの桜もついに散り始め、
花の命の短さを改めて痛感している今日この頃。
『もう夙川の桜も終わりやねぇ』と言うと、
『そうやねぇ。雨も降ったしねぇ。でもうちのサクラが
もうすぐ見ごろになるわぁ』と答える母。

ところが、うちの庭に桜は植えられていない!
『うちのサクラって?』と訊き返す私に、
道路に面した塀の上から垣間見える桜の木を
指さして、『ほらあれ、あの桜のことやん』と母。

母が指さす先には、道路に隣接する線路沿いに
植わっている1本のかなり大きな、見事な葉桜の木が
見える。確かに、今の住まいに引っ越してから、
夙川の桜とは時差攻撃で、見事な花を咲かせてくれ、
私たちの目を楽しませ続けてくれている。でも、あれは、
決してうちのサクラの木ではない。市道に植えられている
のだから、多分、自治体が所有している木なのだろう。

『あれって、うちのサクラと違うやん』と言い返す私に、
『うちの庭からよく見えるし、あれは、うちのサクラって
ことでいいやん』と悪びれずに笑顔で話す母。

うちから歩いて数歩の距離に夙川沿いの見事な桜並木が
あるというのに、自力歩行が困難になってから、1人では
出かけることがままならなくなってしまった母。その母が、
毎年、室内のソファーに座ったまま眺められる道端の桜を
“うちのサクラ”と呼び、愛でるくらい、罪のないことではないか。

その母を見て、来年のこの季節は、桜見物ドライブに連れて
行ってあげようと心に決めた私だ。今年は、母には後しばらく、
“うちのサクラ”見物を楽しんでおいてもらおう。


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