『生きてる、生きてる!』

今年は、例年よりも、蝉が鳴き始めるのが遅かった気がする。
その反動かどうかわからないが、やたらと蝉の鳴き声が大きく感じる。
早朝から遅れを取り戻すかのように、蝉の鳴き声が響き渡る。 

その声はまるで、「生きてる、生きてる!」と、つかの間の命を
惜しむかのように聞こえる。
長い間地中で暮らしていた蝉は、地上に出てわずか1週間で
その短い生涯を終える….。

果たして蝉たちが、自分たちの寿命の長さを知っているかどうかは
測り知れないことだが、あの鳴き方は、まるでそれを知っているのでは
ないかと思えるほど烈しいものだ。

以前、上映された実話に基づく映画、「余命1ケ月の花嫁」の中の
1シーンをふと思い出した。
主人公の女性の彼氏が、癌で入院している彼女にビデオカメラを向けながら
質問をするシーンだ。『今、何してるの?』と尋ねる彼。
『生きてる』とひとこと答える彼女。思わず絶句する彼。
そのひとことが私の胸にもグサッと突き刺さった。
重い言葉だ。

私たちの命は、未来永劫、続かない。
そして、いつまで続くかは誰にもわからない。
もし自分の命が後1週間だと知らされたら、あるいは、
後1ケ月だと知らされたら….。
それでも自分は今と同じ生き方を続けているだろうか?

暑い夏、朝から鳴き続ける蝉の声を耳に、
こんなことをふと考えた。そして、蝉は、まだ鳴き続けている。
一段と大きな声で、『生きてる、生きてる!』と…..。


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