被災地に藤の花(パート3)

(パート1,2からの続き)
東北地方の日没は早い。暗い中では作業が進められないため、
あっと言う間に、その日の作業時間は終了。

立ち去る民家の庭の真ん中に、あの大津波に耐えた、小さな
藤の木が一本。その細い枝の中央に、藤の花が一輪、
小さいながらも見事にしっかりと咲いていた。
地震や津波も大自然の脅威だが、私にとっては、この小さな一輪の
藤の花も、別の意味での大自然の驚異に思える。

多くのものが津波に流され、失われた悲しい現実の中で、
流されもせず、枯れもせず、立派に花を咲かせた一本の藤の木….。
この藤の木のように、残された人たちも、しっかりと地面に根をはり、
やがては大輪の花を咲かせることができる日が来ることを信じて止まない。

わずか短期間の被災地訪問での体験をスタッフのみんなに話した後、
一人のスタッフが、『今、ここにいる私たちにできることって何でしょうか』
と質問を投げかけた。正解かどうかわからないが、一つは、やはり、日本の
今後の経済発展のために、自分たちの可能な限り、お金を使うことかなと思う。
もう一つは、遠く離れているものの、折に触れ、被災された方たちに対して、
思いを馳せるということではないだろうか。

最近、節電のため、エアコンの温度が高めに設定されている所が多いが、
私たちとは比べものにならないほど不自由な生活を強いられている被災地の
方たちに思いを馳せることができれば、少しの暑さなど耐えられる筈だ。
被災を免れた私たちはなんて恵まれているのだろう、少々のことで
文句を言ってはバチが当たると痛感した、貴重な体験だった。
(被災地に藤の花:完)


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